ぬぬさぁーの話

  • vol.03

    復元仕事のこと

    1月28日から2月末まで私たちが携わった復元事業の巡回展が開催されました。

     

     

    今回依頼された着物は表地と裏地があり、丸正は表地を制作しました。

    表地・裏地ともに単糸の綿。
    単糸は切れやすく大変です。切れては結びの繰り返し。

    さらには表地は地機で経緯絣を織るということで、初めての試み。
    試行錯誤を繰り返す作業に追われるばかりで、製作当時の細かな記憶は正直なところほとんどないです。

     

     

    苦労の果てに反物が仕上がって、「当時の人は必死だったんだな」が僕の感想です。

    もちろん技術的にも凄いなと感じることはありますが、昔の着物などを見ると「生きるために必死だったんだ」と感じます。

    投げ出したいけど、、、最後まで織りきって布にする行為に必死さが伝わります。

    この糸を無駄にしないように___。

    その過程で色々知恵が生まれたり、新しい技術が生まれてきたのではないかと思いを馳せました。

     

     

     

    上の写真はロウソクで糸の滑りを良くしています。
    糸が毛羽立って捌きが悪い時に、オバアたちはロウソクを使って滑りを良くしていました。

     

     

     

    地機で織りを担当した上原さん。

    1日に10センチ織れない日も多いなか、コツコツと最後まで織り上げました。

    腰が痛いからと、座る位置を少し高くしていました。

    一生懸命、必死に向き合うから知恵が出る。

    地機から高機に移行していくのも、自然な流れだったんだなと思います。

     

     

     

     

    『木綿紺地絣衣装』

    裏地制作 /琉球絣と南風原花織保存会
    ・大城 幸正(南彩工房)・大城 美枝子(南彩工房) ・大城 進
    ・伊敷 美千代(織工房 由) ・大城 美枝子(手織り工房 おおしろ)
    ・大城 トシ子(手織り工房 おおしろ) ・湧川 清美(手織り工房 清)
    ・平田 和子

    表地制作/丸正織物工房
    ・大城 幸司 ・上原 優子 ・赤嶺 緑 ・大城 友子 ・眞島 薫
    ・協力 城間びんがた工房

     

    先行きが見え辛い時期に、昨年に続いて今回の展示会を開催頂いた関係者の皆様のご尽力に心から感謝致します。

     

    (大城 幸司)

    *ぬぬさぁーとは布を作る人という意味の方言です。

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