ぬぬさぁーの話

  • vol.04

    70年の機

    先日、私が使わせてもらっている機の修理に機屋さんに来ていただいた際のこと。

    一目見て「これは70年くらい前の機だねー」と。

    作りやサイズなど年々改良が重ねられているため、いつ頃に作ったものか制作年代はすぐわかるのだそう。

     

     

    70年前といえば、1950年代。

    戦後の復興期、南風原が織物産地として息を吹き返した時期。

    その頃に生産の強化と拡大を図るため技術や道具にも次々と工夫が加えられた、と聞きましたが、織り段が出にくいようにつけられているオモリも、その力強い時代の痕跡なのでしょう。

     

     

    織りながらも細部のキズのひとつひとつにも思わずじっと見入ってしまう時があります。

    この機はどれだけの生活を見て、支えてきたのだろう。

     

     

     

     

    機屋さん曰く、南風原ではこれと同じ型のものがまだ数台、現役で使われているとのこと。

    そしてあと20年は使えるらしく。

     

    目に見える風景は変わっても、変わらないのは機の音。

    先輩達のリズムを追い、織って、織って、織って織り続けたら、わかることが沢山ありそうな気がします。

     

     

    (うやー  眞島 薫)

    *ぬぬさぁーとは布を作る人という意味の方言です。

    産地として栄えた南風原は分業制。工程に携わる人それぞれに呼び名があります。

    織り手は、”うやー”。

     

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